3月3日はひな祭りでした。
そこで、探究教室からっぱでも「ひな祭り」を出発点にして、どこかへ行ってみることにしました。
「どこでもドア」を出現させる
私がいつもイメージするのは、ドラえもんの「どこでもドア」です。
「どこでもドア」は扉を開けるとどこにでも行くことができます。
それと同じように、目の前の物事が「一体どこに連れて行ってくれるのだろう」と考えていきます。
「ひな祭り」に関する「知識」を子どもに覚えさせることは目的としていません。
「結果的」に覚えてくれればいいですが、覚えなくても全くかまいません。
目的にはしていませんが、「面白さ」「楽しさ」を感じると、エピソード記憶に振り分けられるらしく、意外と覚えています笑
私が授業で大切にしているのは、
こどもにつながりを感じてもらうこと
です。
自分とその世界のつながりに気づくこと。
この世界は目に見えない複雑なつながりでできています。
目の前の小さな出来事が、遠い場所や大昔、または未来につながっている
自分から出発して、どんなところへも行くことができる
そういうことを感覚的にわかってもらうことを意識しています。
さて、「ひな祭り」といえば、「お雛様」ですね。
子どもが身近に感じていることから出発したいので、「お雛様」から出発してみたいと思います。
まず、「お雛様」の起源について調べます。
長くなるので省略しますが、「お雛様」は昔は子どもの死亡率が高かったので、無病息災を願ったとか
平安貴族のお人形遊びとか、桃の節句とかいろいろありますが、
情報をつめこみすぎると逆に何も残らないので、1つか2つにしぼります。
今回は低学年の女の子ばかりなので、「ひな人形」そのものに注目してみます。
「お内裏様とお雛様」と歌にも出てきますが、
そもそも「お内裏様」の「内裏」って何か知っているんでしょうか。
日常の中でわからないことに気づく習慣をつけることは大切です。
「内裏」は天皇の住まい、皇居のことです。
ひな人形は天皇と皇后の姿を人形にしたものですね。
(ここで「皇后」「女御」「御息所」「更衣」とかにもいけますが)
すると、なんと令和天皇の即位式のひな人形があるのですね。
おおっグッと身近に。
やはり、女子はこのお姫様?の着ている服に興味が湧くのではないだろうか?
今回は十二単(じゅうにひとえ)に行ってみよう。
じゃあ、十二単について調べます。
これも長くなるので省略しますが、
・十二枚着ているわけじゃない
・「ひとえ」は着物の名前
なんかがあります。
やってみたいのは、
実際に十二単を作って着てみる
なのですが。
実際に自分で再現することで、例えば古典を読んだときや平安時代を習ったときに、理解度が変わってきます。
なにごとも、やってみることで初めてわかることって多いですからね。
今回は、準備の関係もあり、服を作るのは難しそう。
十二単で他に気になるのは、美しい色の合わせです。
この「五衣(いつつぎぬ)」のところの色彩がなんともいえず美しいです。
モンテッソーリ教育の「色板第三の箱」のお仕事にも通じている気がします。
昔の人は、季節に合わせて重ねる色を変えていたのも趣を感じます。いとをかし。
よし、今回は色の組み合わせを感じてみよう。
ところで、調べていくと「禁色(きんじき)」とあることに気づきました。
天皇陛下が即位式で着ていた色「黄櫨染」(こうろぜん)という色で、今でも天皇しか着ることができないそうです。
なぜなんでしょう?
理由は、この色を出すのは当時とても難しかったらしく、希少だったからなんですね。
聖徳太子の時代に「冠位十七階」というのがありましたけど、一番上が「紫」なのも同じ理由だそうです。
「紫」色はとても難しい色だった。だから、濃い方が薄い方より身分が高い。
「なぜ決まった人しかその色を使えないのか?」
は、推論の練習にぴったりな問いだと思います。
しかし、そのためには「昔はどうやって布に色を付けていたのか?」という知識が必要です。
現代は意識していないと自分の身近な当り前以外は知る機会が少ないです。
自分とは違う「当たり前」の世界があり、その「当たり前」をつなげて考える、ということも子どもに知ってもらう必要があります。
たいてい子どもは、「服の色は絵具でつけている」と答えます。
そもそも、「昔は絵具すらない」ということも教えてあげる必要があります。
植物を集めてきて、それで色を「染める」。
今では簡単に好きな色の服を着られますが、昔は簡単には身につけることができなかった。
今では「当たり前」に好きな服を着ていますが。
そんな感じで、やってみましょう!
さて、当日。
みんな!令和の天皇の即位式記憶にあるかな?
………。
おや?なんか興味がなさそうだ。
作りこむほど食いつかないあるある発動しました。
よく考えてみたら、「令和天皇」って身近じゃなかったのでは笑?
天皇の色にはくいつきませんでしたが、なぜか冠位十二階には興味津々です。
強い、とか命令できる、とか順番とかに興味があるようです。
そこから、
「紫はなんで一番偉いの?」
「赤と青を混ぜるから大変なんじゃない?」
など、勝手に推論していました。
他に、
「大徳の徳って何?」
「白にも薄いと濃いがあるけどどう違うの?」
など、勝手に興味を持ち始めます。
目の前の物事から、いろいろなつながりを自分で見つけ、さらに深めていくことが感覚的にわかれば、子どもは勝手に学んでいきます。
そして、そうやって見つけていった発見や知識は、やがてその子のなかで有機的なつながりを持ち始め、ますます学ぶ喜びを感じていってくれると思います。